ブレヒト作「三文オペラ」は、１９２８年ドイツで初演されて以来、世界中のオペラ劇場、ミュージカル
集団によって上演され、映画化も３度されている２０世紀を代表する音楽劇である。クルト・ワイルが
当時ヨーロッパを風靡していたアメリカのジャズ（ブルース）、ポピュラーソング、タンゴなどの形式を
巧みに取り入れて作曲し、とくに誰もが口ずさめる名曲「マック・ザ・ナイフ」は有名である。
窃盗団の親分マック・ヒース（鹿賀丈史）、乞食のピンはねを生業にしているピーチャム（瑳川哲朗）
とその妻（大浦みずき）、夫婦の娘でマックと結婚するポリー（茂森あゆみ）、マックの戦友で警視総監
タイガー・ブラウン（村井国夫）、その娘でマックの恋人の一人ルーシー（森川美穂）、マックの元情婦
ジェニー（キム・ヨンジャ）、などを主な登場人物にした、いささかハメを外したストーリーで、ラストは
アッと驚くハッピーエンドとなる。
“世界のＮＩＮＡＧＡＷＡ”の「三文オペラ」への挑戦は’７７年以来２度目。日本のミュージカル界の第一
線メンバーから元宝塚、演歌界の実力派まで異色キャストが揃い、まさに日本の「三文オペラ」決定版
と呼べる公演になることは間違いない。